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2020年11月26日

生理不順・生理痛の原因と鍼灸~月経を整える「全身お灸」~

灸の効果について


中高校生は生理不順であたりまえ?





生理不順でお悩みの中高校生が多いようですが、この年代の生理不順はあまり心配がいりません。
卵巣や子宮が未熟な10代は、成熟過程で生理不順や不正出血がよく起こります。
内分泌系も含めた生殖機能が成熟してくると自然と月経周期も整ってくるものです。
これは、産科婦人科の医師も言っていることです。
この年代でやってはいけないことは、野菜しか食べない等の過激なダイエット、昼夜逆転生活や夜更かし、フルマラソンやトライアスロンなどの激しい運動です。
これらの生活習慣が引き起こすストレスはホルモンバランスが大幅に崩れる原因になります。
ホルモンバランスの乱れは後に不妊につながりますので要注意です。





大人の生理不順は一筋縄ではいかない





更年期は別として、18歳頃から40代前半頃にかけての性成熟期に起こる無月経や生理不順、不正出血を起こす疾患には、黄体機能不全やPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)、高プロラクチン血症があります。これらは不妊につながるため妊娠を希望される方は早めに婦人科で適切な治療を受けることが必要です。PCOSや高プロラクチン血症は高温期が認められない無排卵月経で妊娠できません。高温期が認められて排卵があると思われるにもかかわらず、生理周期が乱れる場合は黄体機能不全でこちらも妊娠が難しいといわれています。
月経前症候群(PMS)のキツイものや、生活に支障をきたすレベルの生理痛では低用量ピルを処方する婦人科が多いようです。





黄体機能不全とは?
黄体からのプロゲステロンの分泌不足により黄体期が短縮。症状は、頻発月経や生理不順、不正出血を起こすこともあり、不妊や不育の原因にもなるといわれています。内分泌系の異常と子宮内膜の発育不全などが原因で起こるようです。





PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)とは?
両方の卵巣内に少さい卵胞がボコボコと沢山できてきて卵巣が肥大してくる内分泌疾患です。症状は無月経や不正出血で、多毛や声の低音化や脂性肌ニキビなど男性化徴候もみられます。内分泌検査でLH高値で、不妊の原因になるといわれています。





高プロラクチン血症とは?
脳下垂体前葉から乳汁分泌ホルモンであるプロラクチンが過剰に分泌されている状態です。症状は、出産もしていないのに乳汁漏出、黄体機能不全、無月経、不妊です。20代~30代の若い女性に多いですが、男性にみられることもあります。





月経困難症とは?
生理中は痛みで動けず寝たきりになるなど、日常生活に支障をきたす重度の生理痛が月経困難症。生理の直前か開始と同時に症状が現れ、終了とともに消失。下腹部痛、腰痛、腹部膨満感、悪心、頭痛などの不快症状に悩まされます。





PMSとは?
生理開始前3日~10日の黄体期に現れる精神的身体的症状で、生理開始と同時に消失もしくは症状減退するもの。イライラ、不眠、肩こり、腰痛、集中困難、過食、乳房の腫痛、頭痛、浮腫みなど多彩な症状が現れます。





鍼灸が得意とする生理トラブル





生理は、子宮や卵巣だけの現象ではなく、脳の視床下部や脳下垂体とホルモンが関わって起こる全身的な現象です。
視床下部-脳下垂体―卵巣/子宮のどこかに異常があるとテキ面に生理に影響が出ます。
例えば、ストレスを受け続けると、視床下部のすぐ下の脳下垂体前葉から卵胞刺激ホルモンと黄体刺激ホルモンの分泌に乱れが生じるため、標的器官である卵巣にモロ影響を受け、卵胞ホルモンや黄体ホルモンの調節が乱れ、月経異常を引き起こします
生理不順など月経異常は、脳も含めた全体的な治療が適しているという意味では、鍼灸がもっとも得意とする分野です。





「全身お灸」で生理を整える





鍼灸の古典書「黄帝内経素問」の上古天真論には以下のように書かれています。

女性は「14歳になると、生殖能力を獲得する。それは任脈が完全に流通して、血の海である衝脈も盛大になってくるからで、月経が定期的に来るようになる。そして子を産む能力が完成する」
女性は14歳頃になって任脈と衝脈が完成すると準備が整って初経を迎えると書かれています。

任脈と衝脈は順調な月経に重要な役割を担っています。
経絡では、足の脾経と肝経と腎経が関係が深い経絡です。
仙骨のツボ上髎(S1)・次髎(S2)・中髎(S3)は解剖学上でも骨盤内環境と密接な関係にあります。

当院の月経異常に対する基本施術は、温灸で任脈・衝脈上と仙骨上のツボを温め全身の巡りをよくした上で、反応の出ている手足及び背中のツボにお灸または針で施術します。施術期間は、月2回ベースとして、脾臓で古い赤血球が破壊され全身の血液が入れ替わる3~4か月を目安としています。若い年代では早期に効果が表れる傾向があるようです。





治療例① 月経困難症 25歳 大学院生
【現病歴と所見】
毎月寝込むほどの生理痛のため母親に連れられて来院。厳冬の京都の寺で長時間歩き回った事でさらに悪化したとのこと。酷い冷え性。学業では完璧主義で、研究に打ち込むあまり交感神経が優位になりやすい。論文に追われていることもあり心身ともに疲労。顔色は青みがかって生気がなく脈は細緊遅を呈している。
【処置と経過】
関元ツボを棒灸で温めながら、血海、三陰交、太衝、照海、商丘等に点灸。
仙骨下部を棒灸で温めながら、肺兪、膏肓、心兪、肝兪、腎兪等に平戸式お灸
食事などの養生指導も合わせて行う。
経過
初診翌日の朝はとても快便でスッキリしたとのこと。二診目で顔色の改善を確認、頬に赤みが差し健康的な顔色になり本来の生気が戻った。三診目で生理痛の緩和がみられたが生理が一週間遅れた。五診目で生理痛の大幅な軽減と周期が元に戻ったとの報告。生理が整ったことを確認し治療終了(治療期間:2か月半)
(その後はその他のマイナートラブルである眼精疲労や口内炎、首肩こり、腰痛等の治療を継続しいずれも軽快する。)





治療例② 生理不順 22歳 大学生
【現病歴と所見】
春にストレスを受けて生活が一変してから、一か月生理が来ていない。20歳の時に卵巣嚢腫(若年女性に多い皮様性嚢腫だったとのこと)の手術を受けてから、下腹部に鈍痛、大腿から下肢にかけて下腿内側に常に痺れがある。脈は細緊数、下腹部が硬く冷えがあり軽く押しただけで顔をしかめて痛がる。足は特に脾経に反応が出ている。
【処置と経過】
一診目
中極~帰来を面で温めながら、三陰交、中封、照海、商丘に点灸。
仙骨を棒灸で面で温めながら、膈兪、肝兪、腎兪、大腸兪に平戸式お灸
経過
一診目翌日に生理が来たとのこと。下腹部の痛みと痺れも和らいだ。
二診目も同様に処置をするとともに足の脾経のツボへの自宅お灸をすすめる。三診目、下腿内側の痺れがほとんど消えたとの報告。生理も順調とのこと。
継続して自宅お灸をすることをすすめる。治療終了。(治療期間:1か月半)

【ご感想】





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