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2022年06月01日

【症例】 ふわふわする痰飲めまい(サイバー酔い)

症例など


26歳 女性 勤務 相談月 202X年 4月

主訴
歩くとふわふわしためまいが常にあり、めまいに伴って気持ち悪さと吐き気がある。スマホやPC画面をスクロールした時に酒に酔ったような感じになり気持ちがわるい。休んでも回復しない。最近仕事が忙しくストレスがたまっている。

随伴症状
呼吸が浅く感じる 緊張すると吐き気が悪化する 口の中が苦い 喉に何か詰まった感じがする(梅核気)

現病 歴
2月から症状が出始め、病院で検査を受けたが異常がなく原因が分からない。現在は心療内科で処方された漢方薬と自律神経を調整する薬を服用しているがめまいと吐き気は改善されない。

所見
脈 浮緊数 腹部膨隆 脊柱起立筋緊張
仕事が忙しく食べる時間も惜しむ様子である。制作中はほぼPCの前に座っており2画面使用し相当細かい描画をしている。忙しいときは帰宅後はすぐ寝るような生活で朝食も立ったままバナナ一本食べるのがやっとである。もともと胃弱で胃もたれを起こしやすい体質。コロナ禍で日常が制限されたり長らく帰省できていないことにもストレスを感じている。
症状、脈状、腹診、問診内容と総合してみて、エネルギー不足とストレスにより脾の運化が失調し胃もたれを起こし「水穀の精緻」が昇清されず頭部を栄養できなくなったことによりめまいを起こしていると思われた。同時に胃の機能低下により胃の降濁機能が失調して痰湿となり吐き気を催していた。

タイプ
痰飲のめまい 
ベース 脾気虚 肝気鬱血

治法
利水化痰 疏肝解鬱 益気健脾

処方(ツボ)
陰陵泉 三陰交 太衝 足三里 中かん 気海 内関 中渚
附陽 照海 天ゆう 肩井 膏肓 膈兪 肝兪 脾兪
命門 腰兪 関元 攅竹 

経過
一回目の施術で症状がだいぶ改善する。めまいとめまいに伴う吐き気が無くなった。アドバイスに従って穀類、芋類、豆類を良く噛んで出来うる限り時間をかけて咀嚼するようにし、柑橘系アロマを取り入れるなどリラクゼーションも勧めた。特に瞑想は性格に合っているようで継続しているとのこと。
一回でだいぶ良くなったので今後は予防のためベースの脾気虚の改善のためしばらく通ってもらうことにした。

考察
症状が発生した背景には、本人の生真面目な性格が大いに関与していると思われた。また、早食いのため唾液が少なくなると消化力が低下し元来の胃弱に拍車をかけた。忙しさのあまり呼吸も浅くなっている。まさに息つく暇がないほど忙しいといった様子である。生活上のアドバイスとして食事に時間をかけることと、特に朝食をしっかりとること、ストレス発散にリラクゼーションを心掛けることを提案した。本人が生活習慣を改めたことと鍼灸治療によって早期に改善していったものと思われる。





東洋医学のめまいとは?





眩暈の眩(げん)は目がかすんで眩むこと、暈(うん)は頭がくらくらするという意味。めまいでは同時に出現し、吐き気や発汗を伴うこともよくあります。虚証のめまいと実証のめまいに分かれる。

虚証のめまい
気虚血虚と腎精不足のめまいがある。

気虚血虚のめまい
もともと虚弱体質の人が過労や過度の思慮等によって心脾両虚になると気血不足が起こり、頭部や目に気血を巡らせることができなくなるため脳が栄養不足となり起こる。
症状 ふらつくようなめまい、動悸、息切れ、疲労倦怠感 休むと回復
治法 補気補血 
ツボ 合谷 足三里 気海 三陰交 血海 膈兪(すべて補法)
漢方 加味帰脾湯 十全大補湯

腎精不足のめまい
加齢や過労、房事過多により腎精が消耗すると、髄海(脳)が空虚となるためめ起こる。
症状 継続する弱いめまい、耳鳴り、物忘れ、足腰のだるさ、排尿トラブル
治法 補益腎精
ツボ 腎兪 太渓 三陰交 血海(すべて補法)
漢方 海馬補腎丸 





実証のめまい
肝陽化風と痰飲のめまいがあります。

肝陽化風のめまい
めまいと風は関係が深く風の揺り動かす性質がめまいやふらつきを発生させると考える。ストレスや怒りで肝が傷つけられると肝陽が上がることによって火熱を起こし火熱が内風を起こしめまい発生。

症状 激しいめまいと頭痛、耳鳴り、痙攣、痺れ、震え、真直ぐ歩けない、休んでも回復しない
治法 平肝そく風
ツボ 膈兪 肝兪 三陰交(補法)太衝 風池(瀉法)
漢方薬 釣藤散 抑肝散加陳皮半夏

痰飲のめまい
甘味や脂っこいもの乳製品の摂り過ぎにより湿が盛んになって痰を生成して起こる。水分代謝が悪くなって流動性を失った痰が頭部に溜まると内耳の平衡機能や眼球運動、脳の機能を阻害してめまいが発生します。胃に溜まると吐き気を伴うのが特徴。
症状 ぼんやりとした重い感じのめまい、回転性のめまい、身体が重だるい、むくみ、雨の日に悪化しやすい、乗り物酔いしやすい、休んでも回復しない
治法 利水化痰
ツボ 脾兪 胃兪(補法)陰陵泉 豊隆 中極(瀉法)
漢方薬 半夏白朮天麻湯





鍼灸治療が可能なめまいをきたす疾患





良性発作性頭位めまい
頭位変換により内耳の前庭にある耳石器の中の石が脱落して三半規管に入る三半規管結石が原因と考えられているめまい。めまいの中で最も頻度が高いく起床時や体位変換時に起こりやすくい。一義的には耳石を元に戻すことが治療の目的となるが、副腎の強化や全身の血流促進が鍼灸治療のポイント。

メニエール病

内耳の病変である内リンパ水腫が原因で起こるめまいで、耳鳴り、難聴、時に吐き気を伴う。発作的に起こり、持続時間は数分から数時間、数日から数か月置きに繰り返すことがある。水腫の生成はストレスと関係があるとみられており、自律神経の調整やお血の解消(理血)が鍼灸治療のポイント。

循環障害性めまい

椎骨脳底動脈の血流障害による一過性脳虚血による中枢性めまいで、軽度であれば鍼灸治療が有効。椎骨動脈は横突孔を通って頭蓋に入り、脳底動脈と合流して脳幹と小脳を栄養している。椎骨脳底動脈の血流循環を促進することが鍼灸治療のポイントとなる。※脳梗塞や動脈瘤は鍼灸対象外。

頸性めまい

PC作業やデスクワークあるいは草むしりなど長時間同じ姿勢と目の酷使で頸筋の過緊張によって頸部痛やめまいが起こる。僧帽筋や胸鎖乳突筋の凝りや緊張をはりとお灸で緩めることが鍼灸治療のポイント。





吐き気を伴うめまい





めまいに伴う吐き気は、内耳の前庭器官が三半規管によって刺激され小脳を通じて延髄の嘔吐中枢に作用して起こる。

めまい

内耳の三半規管
↓ (前庭神経)

前庭神経核(H1,M1)

小脳

延髄の嘔吐中枢

吐き気









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