ホルモンバランス八方塞がりの更年期

女性の更年期とは、必然的な卵巣機能の低下に伴って、自然の摂理に従ってホルモンバランスが乱れ、同時に自律神経のバランスも崩れるため、様々な不定愁訴が現れてくる人生の節目の時期にあたります。女性の一生では避けようのない時期が更年期です。

なぜ、ホルモンバランスが乱れると自律神経のバランスも乱れるのか？

命短し恋せよ乙女、とはよく言ったもので卵巣は寿命の短い器官で、初経から30~40年で機能を停止し女性ホルモンを分泌しなくなります。

卵巣から分泌される女性ホルモンには、ご存じのように、エストロゲン（卵胞ホルモン）とプロゲステロン（黄体ホルモン）の二種類のホルモンがあります。
この２つのホルモンは、通常は脳下垂体から性腺刺激ホルモンの刺激を受けて卵巣から分泌されます。脳下垂体は視床下部の性中枢から分泌される性腺刺激ホルモン放出ホルモン（GnRH）にコントロールされています。

女性ホルモン分泌の2つの流れ

視床下部：性腺刺激ホルモン放出ホルモン
（GnRH）
↓
脳下垂体：性腺刺激ホルモン
（FSH、LH）
↓
卵巣：女性ホルモン
（エストロジェン、プロゲステロン）

視床下部がGnRHを放出する契機は、血液からの情報であり、脳には血液中のホルモン状況をトレースするシステムがありホルモン分泌のバランスを保っています。したがってホルモン量が少ない場合には多く分泌するよう脳が命令します。

更年期にさしかかり、卵巣からの女性ホルモン分泌が激減すると、脳下垂体は今までのルーチンに従い卵巣ホルモンを分泌しようとしてドンドンFSH、LHを分泌します。しかし、卵巣の働きが衰えてしまっているため、いくら刺激を送っても女性ホルモンはチットモ出てきやしません。

それにもかからわず、血中の女性ホルモンが減少した、という血液情報を元に視床下部は脳下垂体を刺激し、脳下垂体は卵巣を刺激し続けます。

それでも働かない卵巣に対して脳の中枢部はパニックを起こしてしまうらしい。この生理機構だけ見ても更年期は危うい、そんな感じがしませんか？

案の定、性中枢のある視床下部は自律神経の中枢でもあるため、視床下部がパニックに陥ると自律神経のバランスも崩れて様々な不定愁訴を引き起こします。

これがいわゆる更年期障害で症状は多岐にわたります。

更年期の様々な不定愁訴
ほてり・ホットフラッシュ
発汗・寝汗
安静時動悸
不眠（入眠困難・中途覚醒）
肩こり・腰痛
焦燥感
気分の落ち込み・うつ
過活動膀胱
等々

卵巣機能を代替するもの
更年期に特有の症状を軽減してダメージを受けないためには、卵巣機能に頼らず血中の女性ホルモン濃度を適度に保ち、視床下部機能を安定させることポイントです。

女性ホルモン様の大豆イソフラボンを多く含む大豆製品を多く摂取するのもオススメですが個人差があります。

人体の女性ホルモン分泌機構は、視床下部→脳下垂体→卵巣ライン以外にも、副腎皮質ホルモンからも生成されるため血中女性ホルモン濃度を保つには副腎の強化も着目に値するでしょう。

現に副腎皮質から分泌されるDHEAは体内で女性ホルモンに作り変えられるため、更年期の女性ホルモン枯渇の救世主になるかもしれません。

更年期を乗り切るためのお助けツボ

今日のツボ
更年期特有のホルモンバランス調整には　照海（しょうかい）
更年期の睡眠障害には　太衝（たいしょう）

副腎を強化してホルモンバランスを一定に保つツボ
照海☞　

更年期には東洋医学的な肝機能が乱れて疏泄が滞り不眠に陥りがち。
そこで活躍するのが肝経の原穴、太衝です。
入眠困難、途中覚醒、寝汗に陥りがちな更年期ですが太衝のツボ反応と密接な関係があり、ツボ押しだけでも飛び上がらんばかりに痛がったりしたらぜひセルフケアに取り入れてみてください。

東洋医学的肝機能を強化して気血の巡りを改善し安眠をもたらす　
太衝☞

さらに、最新の睡眠科学によると、入眠直後90分間のノンレム睡眠時に分泌される成長ホルモンが熟睡の鍵だとか。

成長ホルモン分泌を促す効果がお灸にあることが中国の研究チームにより報告されています。研究では、マウスの足三里にお灸をすると成長ホルモンの分泌増加がみられ、成長ホルモンの効果として細胞の修復があるため、マウスの潰瘍性大腸炎の軽減につながったと報告されています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6038048/

副腎皮質ホルモン、成長ホルモンは更年期を楽に乗り切るための必須のホルモンといってもいいでしょう。

セルフケア方法　～照海、太衝への～
・台座灸
・点灸

点灸イメージはこちらから☞https://mannendou.jp/2020/10/16/

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