2024年03月08日
症例)酷い生理痛が鍼灸による側弯矯正で改善されたと思われる例。
症例など
202X年5月初診 40代 勤務
状況
酷い生理痛と、頭痛などの生理前不快症状(PMS)に悩まされているAさん。更年期を前に身体を立て直したいと思いご来院された。
ここ10年位、生理開始から3~4日目に右の鼠径部がドスンと下に抜けるような、包丁でかき回されるような耐え難い痛みがある。また、生理前には、こめかみがズキンズキンする片頭痛、赤い水泡状の口内炎や舌のビリビリ感で食事に支障、等PMS症状が発現する。
経血は鮮紅色でしっかり量がありさらさらしている、血塊はなし、最近は早まる傾向にある。(後に治療過程で粘性を増し血塊を生じるようになる)
身体の右側に痛みが出やすく現在は右足首(照海のあたり)と右の尾てい骨が特に痛い。
病院で貧血を指摘されてから、貧血改善と体力維持のため肉や魚などの動物性たんぱく質を積極的に摂るように心掛けている。
仕事絡みでストレスが溜まることが多い。
望診・聞診
154㎝39㎏、皮膚がカサカサして、乾性の傾向が見られる。肌の色つやが悪く、血液循環が上手く行われていない。左の首筋と右の目頭(晴明)に痒みを伴う赤い湿疹が20代の後半から慢性化している。湿疹に関しては、漢方内科で六君子湯、六味地黄丸、十全大補湯、温清飲が処方された。髪にツヤがなく頭皮に乾性の傾向がみられる。
背中に顕著な側弯が見受けられ、12胸椎が右に突出して「逆くの字」になっている、この2年間で身長が1.5㎝低くなった。
問診
目の周りがピクピクする、お腹にガスが溜まりやすい、こむらがえりが起きやすい、病院で鉄欠乏性貧血を指摘された、むかしから歯が弱い
経過
2週間ごとに施術を行った経過を患者さんの目線で記述することにする。
初診の翌日は肌がきれいになった気がする。2診以降、首の赤い湿疹が少し改善。生理痛とPMS症状は相変わらず。4診以降、生理痛の発生するタイミングが前倒しとなる。右内くるぶしの痛みが緩和した。5診以降、仰向けで寝るときの右足の角度が上向きになり左右の足のバランスが整った。漢方内科にて漢方薬が温清飲に変わり塗り薬が処方に加わったためか、左首前と右目頭の痒みが少なくなった。6診以降、首の湿疹の赤味が薄くなってきた。漢方処方引き続き。生理前の口内炎が出来にくくなった。7診以降、生理痛は変化がないがPMS症状がほぼなくなり、身体の右側の痛みも少なくなってきた。今後は背骨の歪みを治していきたいとのご希望。8診以降、生理中の鼠径部の激痛が和らいだ。9診以降、身長が1.5㎝伸びて元の身長に戻った。10診以降、生理痛が軽くなってきた。11診以降、生理周期が早まってきている。(28日周期 → 24,25日周期)12診以降、背骨が良く「ポキポキ」と音が鳴っていたとのこと。背骨の凝りを感じなくなってきた。13診以降、生理痛の変化(以前は刺すような骨盤が抜けるようなひどい痛みだったが、シクシクする痛みに変化)14診以降、生理前に腰が重だるくなる。
14~16診目で、脊椎に変化、施術後にほぼ真直ぐとなる。生理は早まる傾向。首の痒みをともなう赤い湿疹は相変わらず。姿勢が良くなったように感じる。痛みの性質が変化しており、以前は腰が抜けるような刺痛だったが、15診以降では大腿内側がビリビリ痺れるような痙痛に変化。この痛みは生理中ずっと続くとのこと。
17~18診目で、生理痛が軽減された。長引く大腿内側の痙痛が2日目のみとなった。今後は慢性化したお腹の張り感を改善したいとのこと。
18診目で主訴であった酷い生理痛は改善された。2~3週間おきの施術で9か月を要した。生理痛に関しては引き続き経過を見ていくこととするが、今後は他の症状も辛さを軽減できるように患者さんと相談しながら対応していきたいと思う。
考察
2年前に勤務先で異動があり業務内容が変わった。それまでは立ち仕事と座り仕事が半々だったが、異動後は硬い椅子に座って終日作業することが多くなった。そのためか、この2年間に側弯が形成されて身長が1.5㎝低くなったのかもしれない。側弯は第12胸椎を境に逆くの字で右に突出していたためか、東洋医学的にみて右半身側に痛みとして「実」の症状を呈した。鍼灸を受けて側弯が矯正されるに従って右半身の痛みも軽減された。度を越した酷い生理痛に関しては10年前からあるものであり、側弯形成も影響を与えたと思われる。側弯がある状態では、骨盤内臓器である子宮にも歪みが生じ、歪んだ状態の子宮に経血が停滞することにより、痛みを増強した可能性が考えられる。今後も鍼灸治療を継続することにより骨盤内環境が改善されていくものと期待したい。生理痛の内容も注視していきたい。(結果として18診目で生理痛は改善した。)
ストレスフルな環境や皮膚症状からみて、肝気鬱血から熱化して内熱を生じやすい状態が長年続いている。そのため、更なる血熱を生じないように鍼による清熱を意識して行った。
側弯に対する施術は平戸式竹筒灸と陥凹部に知熱灸を使用すると効果が高かったように思う。
平戸式お灸とはどのようなものですか?
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