2022年07月06日
【症例】在宅勤務で腰痛とPMSが悪化した例
症例など
23歳 女性 勤務 相談月 202X年 9月~2月
主訴
コロナで在宅勤務となり全く出社しなくなって半年近く過ぎた。自宅の硬い椅子に座って長時間PCで仕事をしているせいか、腰痛がひどく疲労も蓄積してきた。疲労は常に感じているが起床時が一番つらく生理前になると起きられなくなる。PMS(生理前緊張症候群)は10代からあり結構重症とのこと、在宅勤務になり悪化したと感じている。入社2年目で案件を任され、一日12時間以上もPCに向かっている。ついついオーバーワークになり食事の時間も惜しむほど、立ったままごはんをかき込むことも多い。
随伴症状
・下肢の浮腫み(生理前)
・日中の眠気(生理前)
・残尿感(生理前)
・胃痛(もともと胃弱)
・アトピー性皮膚炎
・便秘と下痢を繰り返す
所見
脈:滑 舌:舌質淡白 舌苔薄白 舌尖やや紅 腹:巨闕 左期門 中注 大巨
弁証(タイプ)
肝脾不和(肝気鬱血 脾気虚)
治法
疏肝健脾
選穴(ツボ)
三陰交 内関 陽陵泉 期門 肝兪 太衝から適宜 瀉法
足三里 三陰交 中かん 脾兪 太白から適宜 補法
経過
【1診目】 慢性的な疲労と腰痛、PMS症状の悪化
コロナで完全在宅となり腰痛が悪化しPMSもあり心身ともに疲労が極限となり来院。腹部の湿気と冷感が顕著、季肋部と下腹に圧痛、肩甲骨間は左側に圧痛。胃痛。まずは健脾のため気海穴付近を棒灸を用いてじっくり温め、巨闕、足三里に知熱灸で補法を行った。次いで期門と太衝に瀉法の灸と針。肩背部(肺兪 心兪 膈兪)は左に瀉法の竹筒灸、左帯脈の硬結に深刺雀啄、百会穴に半米粒大3壮。
生活養生:朝食をしっかりとること、穀類・豆類・芋類を中心によく噛んで食べること、ストレス発散するため軽い運動をするとよい等伝える。
【2診目】 身体の痛みはあるが大分調子がいい。頭が回るようになり胃の調子が良くなった。PMSもやや軽減。首、肩甲骨、腰、両股関節に痛み。左の後頭部の頭痛が時々ある。引き続き施術。
生活養生:サプリに抵抗が無いということなので、PMS改善のためマグネシウム(一日400mg)ビタミンB群、亜鉛をすすめる。
【3診目】 頭痛と腰痛が軽減し疲労も回復した。
プロジェクトが一段落してストレスが軽減したとのこと。今は股関節が痛い。腰痛と背部痛も少し残っている。時々頭痛。夕方、塩辛いものが無性に食べたくなる。引き続き施術。
生活養生:亜鉛は副腎疲労やアトピーにも効果がある
【4診目】股関節痛が軽くなった。
生理前になり集中力低下や昼間の眠気、食欲増進(チョコ菓子大袋を一気に平らげる)などのPMS症状が出てきた。食事がジャンクに偏りがち。首肩の痛みと腰痛が少し。引き続き施術
生活養生:チョコはマグネシウム活性を阻害するので過食厳禁。自炊するようなので、血糖値対策としてボーンブロススープやおかかおにぎりの作り置きをすすめる。また亜鉛を多く含む牡蠣、するめ、アーモンドなどのナッツ類。マグネシウム豊富なにがりの活用、エプソムソルト入浴をすすめる
【5診目】身体の痛みがなくなった。
身体の痛みはまったくなくなったがPMSで朝眠くて起きれない。PMSも以前ほどではない。最近は近所の緑道をジョギングすることが日課になっている。引き続き施術
【6診目】身体の痛みがなくなった。
12月に入って冷えを感じる。この一週間新たなPJで忙しかったため、食事も不規則となりジャンクフードに偏りがち。どうも徹底的に仕事をやりすぎてしまう。前日に仕事の計画をしっかり立てないと安心して床に着けない。引き続き施術
【7診目】
前回から時間が空いたためか、背中と腰に若干の痛みがある。引き続き施術
【8診目】
PMS症状の大幅な軽減。引き続き施術
【9診目】
調子のわるい日が減った。治療終了。
考察
在宅ワークが長期化して、家から一歩も外に出ることなく一人で一日中パソコンに向かって仕事をこなすことが常態化し、肝気がのびやかに条達できなくなり肝の疏泄が失調し肝気鬱結となって痛みを生じていた。気滞による不通則痛の痛みである。入社2年目でコロナ禍になり業務上乗り越えなければいけないハードルも一人で立ち向かわなければならないストレスも大きかったと思われる。また、ベースに脾気虚を持つため、肝脾(胃)不和となって食欲異常や胃痛をきたした。施術の面では、脾気を補うとともに肝の疏泄を促す補気および理気理血の手法が主軸となった。同時に漢方と分子栄養学の観点から食養生のアドバイスを行った。後半には、ジョギングを日課に取り入れたり休日には映画館に足を運んだり、友人と食事したりなど気分転換の方法を見つけて自力で気を巡らせることが出来るようになった。仕事も順調そうで一段と成長したように見受けられた。
CATEGORY
NEW ARTICLE
ARCHIVE
- 2024年11月
- 2024年8月
- 2024年7月
- 2024年3月
- 2024年2月
- 2024年1月
- 2023年9月
- 2023年8月
- 2023年6月
- 2023年5月
- 2023年4月
- 2023年3月
- 2023年2月
- 2023年1月
- 2022年11月
- 2022年10月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年2月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年10月
- 2021年7月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2021年1月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年5月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2019年4月
- 2019年3月
- 2019年2月
- 2019年1月
- 2018年12月
- 2018年10月